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    ABSモデル集

    カメの分居モデル

      注:このモデルおよび解説の原典は米国タフツ大STARLogoTで公開されている「Segregation」モデルである。翻訳やABSへの移植に際して若干の変更が加えられている。

    設定ファイル

      カメの分居モデル(ZIP/ABS設定ファイル)
      (注)このモデルはABS Ver0.3以上で実行してください。

    解説

     このプロジェクトは神話的な池にいる2種類のカメの行動をモデル化したものである。赤と青のカメが一緒に暮らしているが、それぞれは自分と同じ種類が近くにいる事を確かめたがる。つまり、赤カメは少なくとも近くに数匹赤カメがいる所に住みたがり、青のカメは少なくとも近くに数匹青カメがいる所に住みたがる。シミュレーションでは、個々の嗜好がどのように池全体に波紋を広げ、大きなスケールのパターンを導くかを観察する。

    このプロジェクトはThomas Shellingによる社会システム(都市における居住パターン)からインスパイアされたものである。

    使用方法

    • 最初にカメの数と最低同居率を設定して、シミュレーションをスタートさせる。
    • すべてのカメの近隣同居率(周囲8セルに占める同種類カメの割合)が最低同居率以上になるとシミュレーションは終了する。
    • 数値出力には「不幸な」カメの数、平均同居率、現在のステップ数が表示され、時系列グラフには、「幸福・不幸なカメの数変化」がダイナミックに表示されてゆく。

    変数設定

    カメの数平面上に生成されるカメエージェントの数。赤カメと青カメが同数作られるので実際のエージェント数は設定値の2倍になる(この値はシミュレーションを開始する前に設定すること)。参考値は500
    最低同居率自分の周囲8セルに占める同種類カメの割合を同居率とし、最低同居率は各カメが最低満足する割合を示す。0.3に設定すれば最低自分の周りに3割同種類のカメがいなければ「幸福」にならない。参考値は0.6

    エージェントルール

    • 一つのセルあたりカメの定員は1匹である。複数は同時に存在できない。
    • カメは、自分の周囲8セルにいるカメの情報を得て、そのうち自分の種類が何パーセントを占めているか(=近隣同居率)を知る。
    • 最低同居率よりも近隣同居率が低い「不幸」なカメは、近くの空いているセルに移動する。
    • 最低同居率よりも近隣同居率が高い「幸福」なカメは移動しない。
    • すべてのカメの同居率が最低同居率を越えるとシミュレーションは終了する。

    着目点

    • シミュレーションを開始すると赤青のカメは池全体にランダムに配置される。しかし、多くのカメは近隣に同じ種類のカメが十分いないため「不幸」である。不幸なカメは新しい場所へと移動する。しかし、新しい場所で彼らは局所的な人口バランスを変えてしまうので、他のカメが場所を離れることになるかもしれない。もし、2〜3匹の赤カメが一つのエリアに移動すれば、その場所にいる青カメは場所を離れてしまうだろう。だが、青カメがある新しいエリアに移動すれば、彼らによって赤カメが場所を離れることになるかもしれない。
    • 時間の経過につれて不幸なカメの数は減少するが、池は赤カメと青カメの群集によってより分居化(segregated)されてゆく。
    • 最低同居率が30%以上である場合は、不幸なカメがいなくなった時点での平均同居率は64%前後になる。個別の小さな嗜好傾向が、相対的に有意な全体的分居を導くことが分かる。

    試してみる

    • 最低同居率の設定値を変えてみる。全体的な分居の程度はどのように変化するか?
    • 最低同居率が40%であるとき、不幸なカメがいなくなった時点での平均同居率は何%になるか?

    参考文献

      Schelling, T. (1978). Micromotives and Macrobehavior. New York: Norton.

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