ホームページの情報を提供するウェブサーバは、普通は他のインターネットサーバと同様自前で構えるものだが、現状では、校内にサーバを設置している学校はそれほど多くない。学校ホームページリストにあるURLからWWWサーバの設置先を割り出してみると(1996年8月現在)、学術機関(.ac)が33%、地域ドメインが26%、政府機関(.go)が5%、任意団体・プロバイダ・会社(.ad.or.co)が35%となっている。平成7年度から始まった通産省・文部省の100校プロジェクトでは、主に対象となった学校に地域ドメインの割り当てを行っているので、これを根拠に専用の学校サーバを構えるケースをカウントしてみると、全体の20%強に過ぎないことがわかる(地域ドメインの残りは市役所に割り当てられたもの)。7割強の学校は独自のドメインを持たず、プロバイダーと契約してホームページをレンタルするか、あるいは大学や県教育センターからの支援を受けてサーバを提供してもらう方法をとっていることになる。
自分の手の届くところにウェブサーバを設置するメリットはたしかにあるのだが、たとえ専用線が学校まで敷設されていても、あえてサーバを学校に置かない方が良い場合もある。専用線があまりに高価なので、学校までの回線は十分な帯域が確保できない(64Kbps〜128Kbps)ケースが多いからだ。ウェブサーバは、頻繁に外部からの問い合わせが発生すると、結構な情報量になってしまい、帯域が狭いとすぐに回線が渋滞してしまうことになる。できれば、太い回線で接続されている大学や教育センタ、あるいはプロバイダにサーバを間借りした方が、来訪者にとっては親切なのだ。
ウェブサイトの運営はひとことで言って「終わりのないレース」であり、持久力との勝負である。立ち上げの時は他からの協力もわりと得やすいし、力技でなんとか切り抜けることもできるのだが、そのあとの継続的な内容更新とメインテナンスは、作業が地味なうえに結構手間暇を喰ってしまうので、計算を誤ると大変なことになる。
ウェブのページが印刷物と明らかに違うのは、いつ完成したかが分かりにくい、ということと、ページに掲載した情報を定期的にメンテナンスする必要が生じる、ということである。WWWはメインテナンスされずに作りっぱなしのページにはほとんど価値は認めてもらえない、シビアな世界なのである。前者の場合、印刷物ならばどんなに頑張って校正をかけても、一度印刷機が回ってしまったら一区切りで、あきらめも付きやすいのだが、ウェブは制作者の手が届かなくなるという状態が最後の最後までありえない。つまり、いつまでも半完成の状態が続き得るということだ。一方で後者は、まめに古い情報をアップデートする必要がある、ということだが、特にリンクを多数設けているページを作った場合に、リンクが途切れてしまう、という深刻な問題を引き起こす。ひどい時だとページの半数以上が引っ越ししたり、サービスをやめてしまったりでエラーになってしまうのだ。ずいぶん前に作り終わって忘れてしまいたいページでも、たまに見回ってリンクをチェックしなければならない。これはウェブ特有の負担のかかり方である。ウェブコンテントが増大するに従って既存情報の維持管理も膨らむので、ある程度の規模以上は拡張が難しくなってくる。スタッフの手が限られているなら、これはほとんど越えがたい壁に等しい。
したがって、ウェブを制作するにあたっては、まずウェブがウェブとしてきちんと機能するために、長期的継続的な展開を前提としなければならない。また、一部に過度の負担がかからないよう、なるべく全校的な協力を得ながら、作業をチームで分業分担できるような編集体制を作ることが必要だ。何らかの事情で、個人ですべてをマネージせざるを得ない場合は、なるべくシンプルにページを増やしすぎないようにしておかないと、後々になって暇という暇を全部ウェブ管理に喰われてしまうことになるので注意したい(何を隠そう、筆者自身がそういう状態に陥っているのだが)。
また、インターネットの「ないものは作ってしまえ」「興味のある者が先に手をつけてしまった方が勝ち」という流儀に従うなら、本来ホームページも作りたい人が作れるようにする、というのが正しいやり方だ。ページ作りには技術的な問題もあるから、内容だけ渡してもらって編集スタッフがページ作るという抱え込みの体制になりやすいが、HTMLエディタなどを応用して敷居を下げれば、編集同人になりそうな人にもどんどんページ作りを手伝ってもらうことが可能になるだろう。生徒会・児童会・委員会活動やPTA関連とのリンケージをはかり、児童生徒や保護者もページ作りに関われるような仕組み作りをすることで、よりバラエティに富んだ楽しいページに仕上がってゆくことは間違いない。