学校ホームページのコンセプトがだいたい固まったら、ホームページの階層構造を考えたうえで、具体的にどのぐらいの期間で、だれが、どんなものを作り込んでゆくか決めてゆく。ついでに、出来上がったページにどのくらいの頻度でアップデートを行うかもプランニングできると、もう言うことなしである。この時に重要なのは、最初から手当たり次第何でもやってしまおう、と思わないことだ。工事中表示ばかりのページも決して褒められたものではないが、初めから出来上がりすぎていると、ページを更新したり、拡張したり、といった作業が急に面倒になってしまうのだ。
ページの構造化はそのままウェブサーバの中の構造になるので、将来拡張することを前提として設計し、さらに極端に階層が深くならないような工夫が必要だ。これは後でやり直しが効かないので結構頭を使う作業になる。ホームページは、公開された途端に外からリンクされるので、構造化を誤ったからといって、うかつにURLを変更できないのである(実際には、迷惑もわきまえずURLをあっちこっち変えてくれる運営者もいるが)。
拡張に余裕のないページの設け方をすると、やけに長いページになったり、まるで宅地のミニ開発のように分かりにくくなり、結局大改装をしなければ収集がつかなくなってしまう。また、階層が深すぎるとURLが長くなり過ぎるばかりか、ページを開いてくれる人が極端に減ってしまうのである。初めてページ作りをする人にとっては、もっとも見当をつけるのが難しい部分になるだろう。公開されている学校ホームページをあちこち見て回りながら、すっきりと分かりやすい分類になっている学校を参考にしながら進めるとよいかもしれない。
コンテントの分類は、次の点を押さえて一覧表を作っておく。
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コンテントの性質として、まめにアップデートが必要なものの割合が大きくならないようにすること、もし、その種のページが複数ある場合は、なるべく担当を分けるようにするとよい。一覧表をまとめてみたところで、とりあえず立ち上げの時に準備出来そうなものと、長期的に積み重ねる必要のあるものを分類してゆく。だいたい半年から1年の期間をみて、随時デビュー可能なコンテントを均等に配置してゆくのである。2週間から1カ月程度の周期で定期的なアップデートスケジュールが組めると、リピーター(繰り返しページを見に来てくれる人々)を獲得しやすくなる。これは主にスタッフ側の忙しさと、ディジタル化にかかる手間によってプライオリティを付けることになるだろう。
どこかの雑誌に「今のホームページブームは、昔のBASICプログラミングを思い出させる」という言葉があったが、これはもっともだ。その昔、よちよち歩きのパソコンを業務で使いこなすべく、お父さん達が必死になって覚えようとしたBASIC。ほとんどの人は、マスターする前に挫折してしまったという苦い思い出があるだろう。ワープロも表計算も、見た目がそのまま印刷できるような快適なコンピュータ環境になったのに、なぜ今頃になって分かりにくいHTMLを書きつつ、ウェブブラウザで結果を確認しなければならないのか?悪夢のような時代の繰り返しに一時筆者もイヤな思いをしたものである。
HTML(Hyper Text Markup Language)は、ホームページを記述するための言語である。基本的にこれがきちんと書けないとページが形にならない。しかも使いこなすにはそれなりの慣れが必要だ。巷のHTML解説書には「だれでも簡単に」という言葉があふれているが、本当に簡単だったらあれだけの数の本が出回る訳がないのである。筆者のようにこれらを教える立場になると、見た目さえちゃんとしていれば記述はどうでもいい、という気持ちと、言語というからには、プログラミングにはそれなりの「美しさ」を追求するべきだ、という気持ちの中で揺れ動くことになる。はたして、どちらが良いのだろうか。
いわゆるプログラミングの専門家(プロではない)と呼ばれる人々は、HTMLの本質を知らずしてページを記述することなどまかりならん、と正論を振りかざす傾向にあるように思うのだが、そんな苦行を強要しては多くの人々がページ作りをあきらめなくてはならない。事実、HTMLをエディタで書いてゆく講習会を半日やったことがあるのだが、半数近くが脱落してしまって結果は惨憺たるものだった。情報を発信することを第1目的と考えるならば、なるべく簡単に、できればHTMLは見ずに、ページが作れるようにしたいのである。
世の中にはこういったニーズを上手く吸収するように、俗にHTMLライターという商品が複数存在する。これらを活用すれば、ある程度のユーザーなら自在にページが書けるというわけだ。ちなみにAdobe PageMillを使った講習会では、要領よく教えて約2時間ほどで参加者全員がページ作りができるようになった(講習会で実際に作った作品はこちら)。初期導入の講習時間としては妥当な線ではないだろうか。要するに、プログラミングの分かる人はエディタとウェブブラウザの組み合わせでページを記述すればよいし、ワープロレベルかそれ以前のユーザーはHTMLライターを使えばよい。とにかく「ページを書いてみようかな」と思う人を増やすことが先決なら、どちらかに統一する、といった横暴なやり方はやめた方がよいだろう。
もうひとつ、組織のページということで見かけでくくりをはっきりさせる必要があれば、デザインがある程度統一された標準的なページテンプレートを作っておくことをお奨めしたい。ページテンプレートには、例えばページヘッダにあたる部分や、フッタのクレジット、ホームへ戻るボタンなど、共通の部品を仕込んでおき、これを元にして各ページを記述してもらえばよいのである。筆者がホームページ運営に関わっているサイト(キッズページ / GLOCOMのページ http://www.glocom.ac.jp/)は、たいがいそのような構造になっているので、参考にされたい。