【研究会】1/26 高校教科の情報化をどうするか

2017年9月発足した「GLOCOM六本木会議」では、情報通信分野の技術革新と新しい社会への移行を産官学民の多様なステークホルダを交えて議論しています。「教育情報化のブレイクスルー」分科会では、第2回研究会を1/26に開催いたします。

#2 「高校教科の情報化をどうするか」

教育関係者の話として、小中学校と比べると高校は大学入試の影響を受けやすい一方、教員の独立性が高く、授業スタイルは変わりにくいと言われる。情報化もまた一部の先進的な実践校や商業・工業科等の職業教育を除けば、一般教科での活用はきわめて限られる傾向が強い。高校生の9割以上はスマートフォンを所持し、予備校の授業動画配信が普及している現状があり、大学入試に関しては一部CBT(コンピュータを用いた試験)が検討される今、情報化を前提として、生徒が身に付けるべき資質・能力や授業のありかたはどのように展望されるだろうか。今回は高校国語科と情報科の観点から話題提供いただく。

話題提供

「変わる国語科・変わらない国語科」
笠原諭(西武学園文理高等学校)

中央教育審議会の答申の中でも伸べられているように、国語科は「全ての学習の基盤である言語能力」を育てることが期待されています。国語科自身も国語科が「全ての学習の基盤」と自負してきた部分も大きいと感じますが、ここ数年の社会環境の変化に対して国語科の授業は果たして十分に対応してきたと言えるのでしょうか。 ICT機器の普及によって、言語を用いて表現できることの幅は大きく広がっているのにも関わらず、国語科の授業では相変わらず「縦書き」「手書き」であったり「作品を読み深める」のように国語科の教員同士でしか通じ合わないような言葉を使っていたりと、ICT機器で出来ることに対して授業の方法が追いついていないという現実があります。 教室にICT機器が持ち込まれたときに、いったい国語科の授業は何を変えなければいけないのでしょうか。そして、ICT機器が持ち込まれたからといって変わってはいけない国語科の役割とはどのようなものがあるのでしょうか。 自分の教室でICT機器を持ち込んで起こったことを題材に考えてみたいと思います。

「これからの学びを支える情報科」
竹中章勝(青山学院大学)

中央教育審議会答申において、ICTを活用した情報活用能力の育成とその学習環境基盤となるICT環境の整備が強く求められています。そして、小学校指導要領総則では「言語力・情報活用能力(情報モラルを含む),問題発見・解決能力」等の学習の基盤となる資質 ・能力を育成していくよう各学校の教育課程を編成していくとされており、従来の「教科主義」による教科独立した考え方では対応できなくなってきています。また、言語力の育成を行う中で「思考力・判断力・表現力」のさらなる育成が挙げられる等、いわゆる知的生産活動を行う力の育成が求められる高等学校での学びを支える為に、高等学校情報科では「情報の科学的理解」を柱とした学習活動に変わろうとしています。

高度情報化社会での活動につながる高等学校で、ICT機器を含む教育環境どう整備し、ICT機器を活用した学習活動を進めていき、「ICT活用時代の思考・知的生産活動」に繋げて行く情報科の学びとはどのようなものになるのか、参加者の皆さんと議論を進めていきたいと思います。

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