スマホ学校持ち込みに対する保護者認識

教育情報化に関する保護者意識 #1-3

#1-2からの続き

学校へのスマートフォン持ち込みについて、様々な意見があります。
以下について、あなたは、賛成ですか、それとも、反対ですか。

学校へのスマートフォン持ち込みに関する認識では12項目を設け,賛成(+2)から反対(-2)の5件法で尋ねた.回答分布を図 1に示す.賛成回答の多い順に並べると,緊急時の連絡手段としての必要性以外はネガティブで管理・抑制的な回答傾向が目立つが,どちらでもない(0)の割合が比較的多いことも分かる.

図1 スマホ学校持ち込みに関する認識(①②は後述する因子を示す)

尺度化

因子分析によって2因子構造を確認し尺度化を行った.学校持ち込みに対する懸念と不安を表わす①【懸念・不安尺度】(α=0.79)と,学校持ち込みに対する積極利用を支持する②【積極利用尺度】(α=0.81)を得た.いずれも6項目で構成され,尺度得点のレンジは-12から+12である.

学年別の尺度平均

子どもの学年別の尺度平均を図 2に示す.これによると,懸念・不安尺度は未就学児から中学3年までは強く,高校1年以上ではやや弱まるのに対し,積極利用尺度は未就学児から中学3年まではネガティブな傾向が高校1年以上でポジティブに転換する事が分かる.

2尺度の相関係数はr=-0.450であることから,逆相関の傾向が強いものの,懸念・不安傾向は高校以上になってもなお残る.

図2 スマホ持ち込み認識2尺度の学年別平均

おまけ:保護者年齢か子どもの学年か

得られた2つの尺度得点を左右する要因は保護者の年齢ではないか?という指摘があったので,追加で分析してみた.2尺度について保護者年齢区分別に平均を算出すると図3の通りになり,一元配置の分散分析でも双方0.1%水準の有意差が得られる.

図3 保護者年齢区分別スコア

保護者年齢と子どもの学年には当然相関があるので,2尺度得点・子どもの学年・保護者年齢区分による相関を下表に示した.
これによると,子どもの学年と保護者年齢区分との相関は0.545である.保護者年齢区分と各尺度の相関は-0.1310.192であるのに対して,子どもの学年では-0.1650.367だから,若干子どもの学年が影響が大きいことが分かる.

表1 2尺度と子どもの学年・保護者年齢区分の相関

懸念不安 積極利用 子どもの学年 年齢区分
懸念不安 1 -0.450 -0.165 -0.131
積極利用 -0.450 1 0.367 0.192
子どもの学年 -0.165 0.367 1 0.545
年齢区分 -0.131 0.192 0.545 1

まとめ

スマホ学校持ち込みの保護者認識については

  • 保護者の【懸念不安】傾向は未就学児~中3まで高く、高1以上も残る
  • 保護者の【積極利用】傾向は高1以降でポジティブに転じる

次へ続きます

注)本稿は2019年6月に実施した保護者対象アンケートの論考(JSET19-5)をブログ記事に起こしたもの。予稿本体はこちらからどうぞ

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