学習者端末常時利用の学び方

教育情報化に関する保護者意識 #1-5

#1-4からの続き

スマートフォン持ち込みや、1人1台学習者情報端末整備によって、子どもが常時情報端末を扱うことが想定されています。そのような学び方とは、どのような形が望ましいと思いますか。

学習者端末の常時利用を前提とした学び方について、ICT利活用分類をもとに14項目を設け,賛成(+2)から反対(-2)の5件法で尋ねた.回答分布を図 1に示す.

図1 学習者端末の常時利用を前提とした学び方

これによると「機器を使わない,伝統的な学び方を身に付ける事」の賛成の多さが突出しているものの,その他の項目は概ね同じ傾向を示している.先に示した1項目「機器を使わない,伝統的な学び方を身に付ける事」を除いて,あらためて13項目で主成分分析を行ったところ,第1主成分のみで寄与率55.5%が得られたので単純構造であることが分かる.

学び方のバリエーションを示すこれらの項目には情報提示・シミュレーション・個別最適化・表現・協働学習など幅広い用途が含まれているものの,回答保護者にはほとんど区別されていないことを示すものである.

図2 主成分得点の子どもの学年別平均

各回答者の主成分得点について,子どもの学年別平均を図 2に示す.これによると,全体的には漸減傾向がみられるが,未就学児から小3まで,小5から中3まで,高1以降の急激な落ち込みがみられる点が特徴的である.

これらはおそらく回答保護者の素朴な学習観を背景にしているものと考えられるが,スマートフォンの持ち込み容認が高校生段階で高くなるのに対して,学習場面への適用では極端に低くなるアンバランスが生じるのは,保護者にとっては,情報端末の利用と学習シーンが具体的にはつながりにくいことを示すものであろう.

まとめ

学習者端末の常時利用による学び方について

  • 保護者は学習用途の違いを認識していない

学習用途の得点が漸減傾向なのは、

  • 保護者の学習観にマッチしない
  • 端末利用と具体的学習シーンがつながらない …のかも

次へ続きます

注)本稿は2019年6月に実施した保護者対象アンケートの論考(JSET19-5)をブログ記事に起こしたもの。予稿本体はこちらからどうぞ

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