1人1台のICT利活用分類

日頃解説やプレゼン機会が多いので、説明用の鉄板資料をいくつか持っているのだが、肝心のブログや原稿ではまとめきれておらず、後からお問い合わせをいただくこともままある。これはそのひとつ。

1人1台前提のICT利活用分類がない

筆者の持論は学習者中心の文具的ICT利活用だから、完全に子どもの文具になった1人1台(図1のStage4)と従前の3人1台(Stage3)は、全くの別物で非連続だという解釈をしている。その基本的な考え方は「学習者も常時使う文具へ」で示した通りだ。文科省にはタブレット実証の際に作成された10分類があるが、これもやや古くなっているので、作り直すことにした。

図2 文部科学省(2014) 「ICTを活用した教育の推進に関する懇談会」報告書(中間まとめ)p.32

Bloomタキソノミーと学習指導要領

Anderson & Krathwohl(2001)によるいわゆる改訂版Bloomタキソノミーは、学習活動の次元分けとバランスを検討するのに役立つ。これまでの一斉授業中心の展開は、認知過程次元の【記憶・理解・応用】と知識次元の【事実的・概念的・手続的】次元に偏りやすい。学習指導要領では、左側は「知識技能の習得」右側は「思考力・判断力・表現力等の育成」で区別されており、これらのバランスについて配慮することが求められる。

図3 学習目標分類と教育方法(現状)

ICT利活用によるデジタルシフトでより多くの情報を扱う事が可能になるので、学習活動の偏りからバランス型の拡張へと導く事が出来る。
この際、左側の「知識技能の習得」に対しては【学びの個別化(効率化)】が、右側の「思考力・判断力・表現力等の育成」に対しては【学びの協働化・社会化(高度化)】を促進する加速装置として機能する。

図4 ICT活用による学習活動の拡張

ICT利活用分類の構造化

図2の活用分類は大雑把に【A 一斉学習・B 個別学習・C 協働学習】と分類されているが、これに先のタキソノミーにおける【知識技能の習得】【思考力・判断力・表現力等の育成】を加えて整理したものが図5である。

図5 ICT利活用の用途【展望】

この中には元の10分類に含まれない項目がいくつか追加されている。元は協働に含まれているが、一斉授業で展開されるものはA3/C4のような表記にした。
【A4/B6 ノート授業記録】はノートテイキングを前提としたものだ。【B7 学習計画・評価】や【B8 ポートフォリオ】はe-portflio的な展開を想定して加えたもの。
【C5 非同期交流】や【C3 協働制作】【C6 学習成果の社会化】はクラウド環境を幅広く活用する際に必要となる項目である。
また、ABC分類の基礎に【日常利用・学習の基盤となる資質・能力】が足されていることにも注目したい。教員主導でなく学習者中心の展開を行うには、学習者自身の自律的利用と基礎的なICTスキルの底上げは必須である。

現状からの飛躍を

図5から現状の3人に1台体制(あるいはそれ未満)でのICT利活用パターンをレビューしてみると、図6の通りとなる。【A1 教材提示】【A2/C1 発表・話し合い】のほか、一部1人1台導入先行校で行われている【B5 家庭学習】を除けば、ほとんどがグレーアウトしており、使えていないことが一目瞭然である。

1人1台体制=学習者中心の文具的ICT利活用は、3人1台体制では経験しなかった使い方が増える。これらにどのように対処すれば良いか、はまた改めて解説したい。

図6 ICT利活用の用途【現状】

L.W.Anderson & D.R.Krathwohl(eds,), A Taxonomy for  Learning, Teaching and Assessing : A Revision of Bloom’s Taxonomy of Educational Objectives,  Addison Wesley Longman,2001.

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