電子教科書20の質問その1

電子教科書20の質問(2010.02.14 http://twilog.org/koshix)の質問に答えてみます。ちなみに私は学校教育の情報化が専門ですが、ハードまわりにはあまり興味がありません。

【導入の意義と目的】
1.Q1:電子教科書とは何ですか?

今決まっているのは、総務省・原口ビジョンで2015年までに全児童生徒に配布することが決まっている。デジタルガジェットということだけです。電子教科書という名称自体が用途を著しく限定するので、本稿ではデジタルガジェットに置き換えて表現します。
デジタルガジェットの用途をあらためて考えると、次のようなモノといえます。

#1 授業側:教具を前提とすれば
伝統的な授業モデルでは、教科書と同様、授業者が制御する伝達メディアです。
紙媒体の教科書表現形態から解かれれば、マルチメディアの表現力をメディアに与えます。
授業中の学習者の反応を取得するレスポンス端末として使えます。
授業者側の制御の役割をガジェットに取り込めば、e-learning/CAIになります。
テストを取り込めば、試験実施と迅速な採点・集計が可能です。

#2 学習者側:学習ツールとしてみれば
教科書としての体裁を重視すれば、図書館の書籍や辞書と同じ扱いになります。
授業学習をサポートする発想なら、ノート・アノテート・情報クリッピングが使えます。
e-learning学習ならば、コースウェアの学習履歴や成績が蓄積されます。
当然ながら家庭の学習ドリルや宿題提出にも使えます。
調べ学習や学習中の情報共有に使えます。

ただ、#1・2は全部過去から存在するものです。ここに新しいコンセプトはありません。
何故新しいコンセプトが必要かはQ2を参照のこと

#3 典型的な授業利用の前提を崩すことで見いだせる使い方
(前提を崩すことで、潜在的可能性をよりダイナミックに適用可能です。
 一番アイデアが問われる部分なのでここには具体的に書きません)

2.Q2:なぜデジタルガジェットが必要なのですか?

先に示したQ1の回答レベルではおそらくこういう回答になるでしょう。「学校教育の体制維持と教育情報機器関連の利権に対する公的支援のため」。当然これは皮肉です。これまでの中途半端なコンセプトと予算は最初から失敗することを前提に立案しているとしか思えません。
本来目指すべきは「19世紀来の学校教育モデルを見直して、情報社会における21世紀型公教育を具現化するキーアイテムとするため」です。そのためには新しくかつ大胆な発想と強力な説得力が必要です。当然新しいコンセプトは授業や教材の範疇を超えるもので、子どものみならず大人が真面目に使えて楽しいものでなければいけません。

(2010.2.16追記)デジタルガジェットには、Q1の#1・2を超える新しいコンセプト#3が必要です。なぜなら、授業者が教具としての制御権を持つ限り、現場判断で「使わせない」ことが正当化されるからです。先述したように、デジタルガジェットは21世紀型公教育を具現化するキーアイテムですから、その潜在的可能性を保守的な学校教育モデルの中に矮小化する隙を作ってはなりません。

3.Q3:以前も同じような儲け話がありましたが?

1970年代から教育情報機器の公費導入の大半のパターンは、教育革新を期待させる派手なキャンペーンと実質的な普及失敗の繰り返しでした。ここ数十年授業スタイルは大きく変わっていないので、革新はウソだったことになります。メーカー・ディーラーにとってみれば、後で痛手を受けるほど本腰を入れなくても、中途半端な導入規模で、そこそこ儲かるマーケットが維持されてきた、と見ることもできます。
結局、学校にはガラクタ教具が増えるだけで、教員も児童生徒も誰も困らず、かつ、教育の本質が変わらないから、何度でも同じようなキャンペーンを仕組んで公費マーケットが形成できたというわけです。政権が変わったので同じやり方が通用するかどうかは分かりませんが、電子黒板はしっかり仕分け対象になりました。

【機器整備の問題】
4.Q4:デジタルガジェットを使うのは誰ですか?

小学生以上の児童生徒ですが、仕様は本格的なので大人でも立派に使えます。小3以上を想定する意見が多いですが、機能やUIを精査すれば小1からでも段階的場面的に利用拡大する方法が考えられます。家庭でのゲーム機利用に配慮するなら、学校での知的なガジェット利用は早めに先駆けて行う必要があるからです。当然、全部をデジタルガジェットで行う訳ではなく、発達段階に応じて手仕事とデジタルとの橋渡しをエレガントに行う設計が必要です。

5.Q5:本当に無償配布されるのですか?

導入時+5年毎の無償配布サイクルをベースとし、子ども(保護者)所有か無条件貸与になります。配布時に故障破損の保険も加入します。ただし、期間内の機材更新は自費による追加金が発生しますが制限されません。

6.Q6:教員はどうなるのでしょうか?

教員側も同様5年配給ベースとしますが、期間内の自費追加金による機材更新は制限されません。

【仕様の問題】
7.Q7:システムの仕様はどうなりますか?

ガジェット仕様はバッテリ駆動10時間以上、SSD、マルチタッチ、カメラ、WIFI/3Gなど基礎的なスペックを必須条件とします。画面は応答速度を改善した高精細電子ペーパーで構成し、外部にキーボード等やプロジェクタ等を接続させることが可能です。(実はこの部分はあまり興味がない)マルチベンダ供給を原則としメーカーは限定しません。

8.Q8:教科書コンテンツは誰がつくりますか?

コンテンツ制作者としては1)従来通りの教科書会社 のほかに 2)一般出版社の市販教材 3)教職員や地域の自作教材 4)児童生徒の学習成果の4通りを想定します。つまり誰でも教科書を作り、かつ、選ぶことができます。当然、コンテンツはモジュール別にバラ購入・入手可能で、順序構成も自由です。

9.Q9:教科書以外のソフトやコンテンツは載りますか?

デジタルガジェットには複数のコンテンツレイヤはあってもコンテンツそのものを区別しません。
コンテンツテキストがとしてダウンロードされた時点で変更可能レイヤのデータは赤線を入れようが、切り抜こうが、リンクを設けようが自由自在です。もちろん、変更の世代管理をすることも、元通りに戻すことも簡単にできます。

10.Q10:システムのバージョンアップはどうなりますか?

(興味がないので省略)

11.Q11:ノート部分のデータはどこに保存されますか?

Q9の通り、デジタル
ガジェットは複数のコンテンツレイヤを統合的に管理します。データはクラウドに設けられたパーソナル・デジタル・ポートフォリオに随時格納し、自動的に同期がとられます(パーソナル・デジタル・ポートフォリオの具体的アイデアは伏せます:Q21に関連あり)。学校側でデータ管理するのは困難なので、一切サーバやストレージを置く必要はありません。

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