ある日のA君の授業

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小5のA君は教材準備室の隅に真新しいタブレット・カートを見つけて心ときめいている。「先生はどの授業で使わせてくれるだろう?」。家のパソコンはお父さんのものだし、扱いが難しいし、勝手に使えないけど、新しいタブレットなら指やペンで操作するのは簡単だから、勉強でもきっと上手く使えるさ。

さて、半年経ってタブレットの事もすっかり忘れていたA君に「タブレットで勉強するよ」と担任の先生の声。先生は大きな電子黒板とカートを教室に運び込むのに中休みの時間を全部使ってしまい、なおも汗だくで準備中。授業時間が始まったけれど配ったタブレットには壊れているのもあるし、電子黒板には教材が映らないとか。先生、声が上ずっているよ。

A君に配られたタブレットには「先生に注目!」と書いてあって勝手にいじれないから、だんだんイライラしてくるけれど、我慢して説明を聞かなくちゃ。だいたい電子黒板は小さいから教室の後ろからだと満足に文字が見えないよ。「先生、説明が長いな。いつ使わせてくれるのかな」と思っているうちに早くも20分経過。

やっと先生「では課題のワークシートを配るから、自分の考えをタブレットに書いて」というけれどA君のところにはなかなか表示されず。結局、課題が表示されるまで3分、答えを考えて2分でタブレットに手書きして送信ボタンをクリック。

電子黒板に全員の答えを一覧表示して、先生が丁寧に解説するけれど、わざわざタブレット使わなくても、グループワーク用の白板ボード使えばもっと簡単に出来るよね。

もう一度使えるかなと思ったけど、あっという間に授業時間が終わっちゃった。「紙のワークシートに今日の勉強した事と感想を書いて」っていうけど、先生そういう時こそタブレット使った方が良いんじゃない?でも、先生曰く「タブレットは一番意味があるところ以外では使っちゃいけない」んだってさ。スマホだったら簡単に使えるのに、タブレットの勉強って難しいんだね。

結局小5の1年間でタブレットを使ったのは後にも先にもこの一回だけだった。6年生になったらもっと自由に使わせてもらえるかな。

 

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