学校で使えるPC種類は増えたか
PISA2018分析シリーズ その6
前回、その5ではPCの種類によって利用率の傾向が違うことを明らかにした。では、校内で利用可能なPC種類は増えたのか、それとも減ったのか?PISA2015分析の方法で2012~2018年のデータを再集計してみた。その5の学校での利用率グラフ(図4~6)と合わせてご覧いただきたい。
日本の学校PC死蔵率は変化なし
【死蔵率】はIC001/009項目群の回答選択肢 、① はい、使っています ② はい、でも使っていません ③ いいえ のうち、②/(①+②)で算出したもの。つまり「あるけれど、使えない」状況を死蔵という。
それぞれ、図2~4にデスクトップ型・ポータブル(ノート)型・タブレット型の死蔵率を示す。
学校のデスクトップ型PCでみると、日本の死蔵率は35→28%と漸減傾向にあるのに対し、フィンランドの死蔵率は2012→2018年で10→21%と増えている。
学校のポータブル(ノート)型PCでみると、日本の死蔵率は50~58%で動きがないが、フィンランドは2009→2018年で27%も大幅に減らしていることが分かる。
学校のタブレット型PCでみると、日本の死蔵率はポータブル(ノート)型とほぼ同じ58→50%で動きがないが、フィンランドは2012→2015年で47→25%と大幅に減らしている。前回にも触れた通り、フィンランドでは、デスクトップ型からポータブル(ノート)型・タブレット型への移行が行われていることの裏付けとなる。
利用可能PC種類の推移
タブレット型はPISA2009の項目に含まれないので、2012~2018で、学校で利用可能なPC種類の数について比較してみよう。デスクトップ型・ポータブル(ノート)型・タブレット型すべてが利用可能(①はい、使っています)であれば、PC種類の数は3ということになる。
全体平均として推移をみると、0.94→1.05→1.23で増えている。日本は0.71→0.61→0.75でほとんど変化がない。これに対して、フィンランドは1.23→1.67→1.97で大幅に増えていることが分かる。
日本の生徒は、学校ではPC種類を選べないうえに使えないが、フィンランドは2種類使い分けが出来る状況にある、ということだ。
まとめ
- 死蔵率とは、整備されていても生徒が使えない、と回答した割合を示す。
- 日本の学校PC死蔵率は高く、PC種類別にみても大きな変化がないのに対し、フィンランドはポータブル型・タブレット型の死蔵率を大幅に減らしている。
- 日本は学校の利用可能PC種類は0.7前後で、種類も選べず使えないが、フィンランドは2種類使い分け出来る状況にある。