16 学校評価と学校広報との関係
ステークホルダを意識した学校評価と学校広報は、表裏一体の関係にあります。大きな理由は3つ、① どちらも学校への共通理解を深め、連携協力を促すという目標を共有していること、② 学校評価の結果を学校の責任として公表するアカウンタビリティ(説明責任)のため、③ 外部アンケート等を実施するにあたって、正確な評価と意義ある意見聴取を求めるには、学校から詳細な情報提供を必要とするためです。
文部科学省は平成19年6月に学校教育法を改正し、第42条で学校評価、第43条で学校の情報提供に関する規定を新たに追加しました(文部科学省:学校評価に関する学校教育法・学校教育法施行規則の規定)。
第42条 小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。 第43条 小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。 ※これらの規定は、幼稚園(第28条)、中学校(第49条)、高等学校(第62条)、中等教育学校(第70条)、特別支援学校(第82条)、専修学校(第133条)及び各種学校(第134条第2項)に、それぞれ準用する。
また、これに伴い、平成20年1月に学校評価ガイドラインも改訂されました(文部科学省:「学校評価ガイドライン」の改訂について)。学校評価ガイドラインにおいて、特に関連する部分を引用します。
3.積極的な情報提供
情報提供の必要性と期待される効果
学校評価の結果はもとより、学校に関する基礎的情報を含む必要な情報がわかりやすく示され、その学校がどのような学校であり、どのような状況にあるのかなど、学校全体の状況が把握できるような情報が提供されていることが、保護者等が的確な学校関係者評価を行うなど学校の諸活動に参画していく上で重要である。 併せて、学校の立場から見たときに、学校の情報の提供は自らの良さや努力、また取り組みたいと考えている事柄を外に向かってアピールし、あるいは抱えている課題を率直に広く示すことにより、保護者や地域住民等の理解や支援を得ることができる絶好の機会となる。(学校評価ガイドライン P.25)
あえてここで述べる必要もないのですが、我が国の学校評価制度は、学校の自律的な学校改善と教育水準向上にその目的があり、新たに定義し直された学校関係者評価もまた、学校状況に対する共通理解や、ステークホルダ間の連携協力を促すねらいがあることが明らかです。
第43条では、学校広報(文部科学省の文言では情報提供)の意義目的が提示され、具体的内容と方法が提示されています。第42条とセットで追加された条文ですが、文章そのものは一応独立したものと考えられます。
一方で、学校評価ガイドラインには、学校評価と情報提供との関係が、はっきり意識して書かれていることが分かります。
この中で特に注意したいのは、最初の項です。これまで、学校評価と情報提供に関しては、先にあげた理由の中で②のアカウンタビリティ(説明責任)が強調されることが多かったのですが、むしろ、的確な学校関係者評価や教育活動への参画を促すという目的に重点が置かれています。学校の責務としてのアカウンタビリティだけではやらされ感ばかりで、学校の動機付けにはつながらないからでしょう。
学校評価と学校広報との関係を図にしたものを示しておきます。
図 学校評価と学校広報との関連性