授業内でどの科目がICTを使っているか
PISA2018分析シリーズ その1
項目群IC150は、授業内でデジタル機器を使う頻度について科目別に問うている。
普段の一週間のうち、教室の授業でデジタル機器をどのくらい利用しますか。それぞれについて、あてはまるものを一つ選んでください。
回答選択肢は、①利用しない ②週に1~30分 ③週に31~60分 ④週に60分より長い ⑤この教科を受けていない の5択。
科目は、国語・数学・理科(科学)・外国語・社会科(社会科学)・音楽・保健体育・美術(視覚芸術)。日本の科目には記載がないが、他国は舞台芸術も含まれている。
この項目はPISA2018で新たに加えられたものだ。
授業内活用(週1分以上)は世界最下位の18%
科目をとっぱらって国/地域別の平均を算出してみると、日本の授業中使用頻度(週1分以上)は53カ国/地域中では堂々最下位の18%。シンガポール、英国、韓国、フィンランドも日本よりは数倍使っているけれど、それほど時間としては多くない。これに対して時間が多いのが、デンマーク、スウェーデンである。
今度は科目別に集計し直してみると図2のようになる。一番使われている科学で約50%、頻度の低い体育で25%といったところだ。頻度の高い科目からみると、科学>外国語>国語>社会科学>数学…視覚芸術>音楽>体育の順になっている。この科目順はちょっと覚えておきたい。
デンマークは独特
頻度を科目✕各国/地域で取り直してみると、いろいろ面白い傾向が見えてくる。各国/地域別統計で断然トップのデンマークがどのような使い方をしているか、見てみよう。図3がその結果である。
国語・社会科学・外国語・数学・科学では、週1時間以上の黄色の部分が半分以上を占めているから、ほぼずっと使い倒していることが前提になっている。実技科目の音楽・体育・視覚芸術は半分に満たない。
日本はとにかく使えてない
これに対する日本の結果が図4である(その他の国の比較は一番下にあるSlideShareをご覧いただきたい)。
一番使っている外国語でも30%で、科目順にみると、外国語>社会科学>科学>国語>音楽>体育>数学>視覚芸術、という並びになっている。数学は音楽・体育よりも使っていない(検定はやってませんが)。
まとめ
- IC150項目群は、授業内のデジタル機器を使う頻度について問うている。
- 全体でみると、主要科目で40~50%が利用、実技科目では低くなる傾向がある。
- 国/地域別ではデンマークが82%でトップ、日本は53カ国/地域中最下位の18%。