自宅PCは使わない高校生
PISA2018分析シリーズ その7
IC001/009項目群の分析続編。今回は自宅機器・設備の利用率について、細かく見てみよう。あらためて項目群の問いは次の通り、
ここからは、携帯電話、デスクトップ・コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、インターネットに接続しているテレビなど、様々なデ ジタル機器の利用状況についてお聞きします。
次のもののうち、自宅/学校であなたが利用できる機器はありますか。
それぞれについて、あてはまるものを一つ選んでください。
回答選択肢は、① はい、使っています ② はい、でも使っていません ③ いいえ の3択。
項目の入替えはあるもののPISA2009から継続調査されている項目群である。
知的生産より消費志向が強い
図1は自宅機器設備の利用率(①はい、使っています)の各国/地域の割合をプロットしたものだ。黄色線が日本、灰色線が全体平均を示している。各国/地域の散らばりかたとあわせて読み解くと、平均よりも日本の割合が高いものは、ゲーム機、携帯音楽プレーヤー、携帯電話(ネットあり)、インターネット接続である。つまり、情報消費に関わる機器設備の割合は、比較的高い。
一方、プリンタ、PC3種(デスクトップ型・ポータブル(ノート)型・タブレット型)、USBメモリスティックは、全体平均に遠く及ばない。知的生産に関わるデスクトップ型PC、ポータブル(ノート)型PCが他国に比べてきわめて低いのは、自宅では、知的生産の用途でほとんど使われていない事を示している。
情報消費傾向は強化されている
今度は日本のみを抽出して、過去のPISA調査データと比較をしてみよう。図2で黄色線は日本のPISA2018のデータを示す。灰色が2015、橙色が2012、青色が2009をそれぞれ表わしている。
増加・減少に分けてみると、増加傾向はインターネット接続、タブレット型PCの2つ、減少傾向は携帯音楽プレーヤー、デスクトップ型PC、ポータブル(ノート)型PC、USBメモリスティックの4つである。
これらのなかでも、キーボード付きのPCは双方とも大幅に割合を減らしていることを考えると、日本の生徒は、知的生産や創作活動に、コンピュータを使う機会がますます少なくなったということだ。
まとめ
- IC001は自宅の機器設備の利用について質問する項目群
- 日本のゲーム機・携帯音楽プレーヤーの利用率は全体平均よりやや高いが、PC3種の利用率は全体よりかなり低い。
- 過去データと比較すると、日本はネット接続とタブレットPCは増加傾向だが、 携帯音楽プレーヤー、デスクトップ型PC、ポータブル型PCは大幅に割合が下がった。知的生産よりも情報消費傾向がより鮮明になっている。