LINEがメールを駆逐した

PISA2018分析シリーズ その11

PISA2018分析のもくじはこちらその10からの続き

IC008は学校外でのデジタル機器利用頻度(学習用途以外)について尋ねる項目群である。

あなたは、次のことをするために学校以外の場所でデジタル機器をどのくらい利用していますか(携帯電話での利用も含む)。

回答選択肢は、 ①まったくか、ほとんどない ②月に1~2回 ③週に1~2回 ④ほぼ毎日 ⑤毎日 の5択。
この項目群はPISA2012以降継続調査されている。
今回の分析では、④ほぼ毎日 ⑤毎日が占める割合を集計して比較してみよう。

日本はチャット・一人用ゲームが多い

図1 PISA2018学校外でのコンピュータ利用の国別割合

図1は各国/地域の占める割合をプロットしたものだ。黄色線が日本、灰色線が全体平均を示している。

全体平均よりも右側に振れている(割合が大きい)項目は、
・ネット上でチャットをする(例:LINE)
・1人用ゲームで遊ぶ

全体平均よりも左側に振れている(割合が小さい)項目は、
・SNSに参加する(例:Facebook・Twitter)
・インターネットで実用的な情報を調べる
・インターネットで音楽や映画、ゲーム、ソフトをダウンロードする
・携帯電話やモバイル機器に新しいアプリをダウンロードする
・Eメールを使う
・自分で作ったコンテンツを共有するためにアップロードする
であった。

PISA2012~2018の経年変化

図2 PISA2012~2018 学校外でのコンピュータ利用の推移(全体)

過去からの変化を把握するため、図2ではPISA2012~2018の全体平均データを抽出してプロットした。
SNSへの参加、アプリダウンロードは変化がない。ネット上のチャットが52→73%と大幅に増えているのを除けば、おおむね変動は10%程度に収まっている。

図3 PISA2012~2018 学校外でのコンピュータ利用の推移(日本)

図3はPISA2012~2018の日本のデータを抽出してプロットした。全体平均とは異なり、大幅に割合が変わっている項目がいくつかある。以下、詳しく比較してみよう。

チャットとメールの入れ違い

図4 PISA2012~2018のチャットとメールの推移

図4の日本のデータで一番目立つのは、チャットの大幅な増加(28→89%)とメールの減少(66→9%)だ。全体平均の変動幅からみると、このブレ方はかなり特異な傾向に見える。
ちなみに、2018年でチャットの割合が低い国は、イスラエルとモロッコ、2018年でメールの割合が高い国は、オーストラリアとマルタ共和国であった。

チャットは国別に代表的サービスとシェアが著しく違うので、一概に比較は出来ないが、日本の場合はLINEの普及が影響していることは間違いない。日本の学校ではメールを使わないので、プライベートなメッセージングの用途が、携帯電話のメールから、ショートメッセージ・アプリに置き換わったものと考えられる。

1人用 VS 多人数ゲーム

図5 PISA2012~2018の1人用ゲームと多人数オンライン・ゲームの推移

図5について、同じゲームでも1人用と多人数オンラインゲームでは、傾向が異なる。
1人用ゲームで全体平均は19→30%の変化だが、日本は27→49%と増加の幅が大きく、2018では最上位にある。
これに対して、多人数オンラインゲームは2012では、全体平均からみるとかなり低い位置にあったが、2018ではほぼ全体平均と同じになった。
ちなみに、多人数オンラインゲームで最も割合が高いのは、マカオとタイであった。

アップロードは一貫して少ない

図6 PISA2012~2018のコンテンツアップロードとSNS参加の推移

図6は、コンテンツ・アップロードとSNSへの参加のデータを示した。コンテンツ・アップロード項目は「自分で作ったコンテンツを共有するためにアップロードする(例:音楽、詩、ビデオ、コンピュータ・プログラム)」という表現なので、TikTocのようなアプリでも該当するが、日本の割合は一貫して低い。

これに対してSNSへの参加は、2012~2015はほぼ最下位にあった割合(36%・42%)が2018では59%に増えているところも特徴的だ。例にはFacebookやTwitterが記されているが、この増加分が具体的にどのアプリなのかは、この調査からは分からない。

まとめ

  • IC008は学校外でのデジタル機器利用頻度を尋ねている。
  • ほぼ毎日・毎日の回答が占める割合で比較すると、日本はチャットと1人用ゲームは全体平均より著しく高いが、SNSへの参加、メール、コンテンツ・アップロードの割合は全体平均より著しく低い。
  • PISA2012から2018への変化を捉えると、日本ではメールの代わりにチャット(LINE)が使われるようになって定着したことが分かる。

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