05 学校広報が生む価値

一つ前の記事で述べた学校広報の5つの効果は、学校とステークホルダとの間に社会関係資本(Social Capital)という価値を生み出します。

Robert Putnamら(1992)によれば、社会関係資本(Social Capital)とは、人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、信頼、規範、ネットワークといった社会的仕組みの特徴と定義されます。一般的な資本とは、蓄積が可能で財との交換が可能ですが、社会関係資本の場合はあくまで関係に生じる価値ですから、貯めておくことも、直接お金で買うこともできません。このため、社会関係資本は継続的な維持に努めないと、いつの間にか失われてしまうという性質があります。

ここで、学校の場合を考えてみましょう。
極端な言い方をすれば、社会関係資本としての信頼関係や評判、あるいは協調行動の活性化そのものは、学校が追求する子どもの成長や学力(教育的価値)に対して直接効果をもたらす訳ではありません。そもそも本質的な教育活動が伴わなければ、社会関係資本を活かすことさえままならないでしょう。
しかし、教育活動にさえ注力していれば、社会関係資本など関係ないと言い切れるかといえば、それも否です。どんなに優れた活動を行っていても、周囲がそれを正しく、かつ十分に認識できなければ、社会的な価値はないものとみなされ、理不尽な批判や不当な介入を受けやすくなります。
つまり、学校に於ける日々の教育活動がきちんと遂行され(学校の教育価値)、かつ、それが周囲に十分認識されること(学校の社会関係資本価値)で、学校は正当な評価を受け、教育制度が安定的に維持される(学校の社会的価値)ということになります。

こういった関係を概念的に表すと
[学校の社会的価値] = [学校の教育価値] × [学校の社会関係資本価値]
と表すことができます。教育価値と社会関係資本価値の両方が揃って相乗効果を生み出すことで、学校の社会的価値はより確固としたものになるでしょう。

[参考文献]

Putnam, Robert D., Robert Leonardi, Raffaella Nanetti. (1992) Making Democracy Work: Civic Traditions in Modern Italy. Princeton University Press.

哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造 (叢書「世界認識の最前線」)

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