各学校の自律的学校改善傾向を加速させる
触媒的学校評価のポイント3
「触媒として、各学校の自律的学校経営・学校改善傾向を加速させる働きを持つこと」の解説
先の記事からの続き。
Wikipediaの触媒に関する解説をみると、触媒の化学反応には面白い傾向があることが分かる。すなわち、「触媒は、通常では反応に参加しないような内部エネルギーの小さい分子を反応に参加させるので、見かけ上は反応の速度を増加させる働きを持つ。しかし原系(反応基質側)や生成系(生成物側)の化学ポテンシャルを変化させないので、反応の進行する方向を変えることはない。」とある。
このままでは分かりにくいので、少しかみ砕くと、
「触媒は、あくまで自発的に進行する方向へ反応速度を増加させる働きを持つのであって、自発的に起こり得ない方向への反応は、触媒を用いても進行しない」ということになる。
この説明を読んで、ニヤリとした人もいるのではないか。つまり、学校経営や組織改善に意欲のある学校は、触媒の力を借りることで、自身の積極的な取組みをさらに加速させることができる。しかし、逆の場合もしかり、そのような意識を全く持たない学校にとっては「馬の耳に念仏」と同じで、触媒は何の影響も被害も及ぼさない。変わろうとするのはあくまで学校自身であって、触媒はその手助けしかできない。
触媒的学校評価とは、評価制度の評価・被評価の関係に立ち入らない第三者が行う、いわば「究極のおせっかい」だから、それを積極的に受け入れるか、無視するかは学校側の考えによる。
改善に意欲的な学校は、自校の組織内部だけの取組みにとどまらず、周囲の評判や他校との位置関係にも敏感である。場合によっては、自治体内にとどまらず、都道府県単位や全国における動向やポジションを確認したいと考えるかもしれない。触媒的学校評価は、制度からの独立性を活かして、これらの学校に対して必要な情報提供、あるいは、埋もれがちな取組みに対する周囲からの注目機会を提供する。
もちろん、学校側の判断で無視したところで、罰則や強制が伴う訳ではないから、必要なければ放っておけば良い。たとえ、他校との客観的な比較指標がどんどん悪くなったところで、「ウチはそういう取組みは承知してない」と言えば済むことだ。
突き放した書き方かもしれないが、触媒とは、あくまでそのような立場を示す言葉なのである。