ICT利用頻度の各国パターン

PISA2018分析シリーズ その3

PISA2018分析のもくじはこちらその2からの続き

項目群IC150(授業内)と151(授業外)でのデジタル機器を使う頻度について、もう少し分析を加えてみよう。
全18項目を因子分析(最小二乗法・プロマックス回転)に投入して結果をみると3因子が得られ、累積で64.8%が説明出来ることが分かった。第Ⅰ因子(主要科目・授業外因子)、第Ⅱ因子(主要科目・授業内因子)、第Ⅲ因子(その他科目因子)である。それぞれの因子間の相関は次の通り。

因子
Ⅰ主要科目授業外1.313.542
Ⅱ主要科目授業内.3131.403
Ⅲその他科目.542.4021

もっぱら第Ⅰ因子と第Ⅱ因子に注目すれば、主要科目の授業内・外の要因に注目すれば良い。主要科目とその他科目は0.542と0.402の相関があるので、主要科目の頻度が高ければその他科目の頻度も上がるという見立てである。

因子得点のままだと話が抽象的になるので、IC150主要科目・授業内の5項目、IC151主要科目・授業外の5項目のスコアを合計して尺度とした(項目値のレンジが0~3なので尺度値のレンジは0~15である)。いずれも信頼性係数(クロンバックのα)は0.9以上が確認されたので問題なさそうだ。

国/地域別の傾向

授業内外の利用頻度スコアの散布図を図1に示す。日本④は一番左下にある。全体平均は(3.81, 4.47)のやや混み合った位置③にある。タイ・米国・オーストラリア・スウェーデン②がやや上位に外れた位置にあり、デンマーク①だけは別格である。
活用のパターンから考えれば、我が国の④の位置からまず目標とするのは全体平均付近の③、次いで②→①となりそうだ。

図1 主要科目授業内✕授業外スコア 各国/地域分布

科目別傾向と発展パターン

図2 科目別授業内✕授業外スコア(日本と全体平均)

図2は科目別の授業内✕授業外スコアで、左が日本、右が全体平均である。先に示した通り日本は全然使えていないので、左図は全科目が団子状に潰れたような分布になっている。科目別に見れば外国語が突出しているように見えるが、実際には全体平均の足元にも及んでいない。

右図の全体平均でみれば、主要科目が右上付近に固まり、そのた科目がそれに続く形になることが分かる。座学中心の主要科目に対してその他科目は実技中心なので、この頻度傾向は妥当なものといえるだろう。

図3 科目別授業内✕授業外スコア(日本とデンマーク)

最後にダメ押しで日本とデンマークの違いを見てみよう。図2と比較しても、主要科目とその他実技科目との利用頻度差はよりはっきりした形になることが分かる。

まとめ

  • IC150・151項目群をまとめると、主要科目授業外・主要科目授業内・その他科目の3因子で傾向が把握出来る。
  • 主要科目の授業内外で各国/地域傾向を見ると、日本は最下位、平均付近のグループ、上位グループ、最上位のデンマークの4群に分けられる。
  • 科目別にみると、平均以上の国では主要科目が右上に位置し、その他実技科目がそれに続く形になる。

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