機器の利用開始年齢は平均に接近
PISA2018分析シリーズ その9
今回はIC002(デジタル機器利用開始年齢)/IC004(インターネット利用開始年齢)の分析。IC002の問いは次の通り、
初めてデジタル機器を使ったのは何才のときですか。あてはまるものを一つ選んでください。
(ここでデジタル機器とは、携帯電話、デスクトップ・コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、インターネットに接 続しているテレビなど様々なものを指します。)
回答選択肢は、①3歳以下 ②4~6歳 ③7~9歳 ④10~12歳 ⑤13歳以上 ⑥これまで使った事がなかった の6択。
この項目はPISA2012年以降継続調査されている。PISA2015以前は①と②で6歳以下とされていた。
6歳以下の割合が増えている
2012~2018年で日本と全体の回答分布を図1に示す。7~9歳が割合としては一番多く45~36%を占めているが、年を追う毎に、6歳以下の割合が顕著に増加し、日本の数値(33%)が平均(35%)に接近していることが分かる。
各国/地域のデジタル機器開始年齢(6歳以下の割合)を図2に示す。全体平均とちらばりは緩やかに増加しているのに対し、日本のデータは急速に増加しており(13%→23%→33%)、最下位付近から全体平均(29%→31%→35%)に接近している。つまり、今の日本の15歳は、ほぼ世界と同じデジタル機器経験のスタートをしているということだ。
ちなみに、PISA2018で6歳以下利用開始の割合が最も高かったのは、フィンランド(63%)エストニア(56%)スウェーデン(55%)であった。
ネット利用開始年齢の相対位置は変わらない
IC004の問いは次の通り、
初めてインターネットを利用したのは何才のときですか(携帯電話での利用も含む)。あてはまるものを一つ選んでください。
回答選択肢は、①3歳以下 ②4~6歳 ③7~9歳 ④10~12歳 ⑤13歳以上 ⑥これまで使った事がなかった の6択。
この項目もPISA2012年以降継続調査されている。PISA2015以前は①と②で6歳以下とされていた。
2012~2018年で日本と全体の回答分布を図3に示す。日本の回答分布でみると、10~12歳の割合が最も高く44~39%を占める。日本も全体も6歳以下の割合を徐々に増やしている(6%→9%→15%)が、図1のデジタル機器のデータと比較すると、その変化は顕著でなく、日本と全体平均(12%→16%→21%)とのギャップは埋まっていないことが分かる。
各国/地域のインターネット開始年齢(6歳以下の割合)を図4に示す。先で示したデジタル機器とは違い、全体平均と日本の位置関係は大きく変わっておらず、世界的な傾向にほぼ沿うような形で増加しているものの、依然として慎重傾向である。
ちなみに、 PISA2018で6歳以下利用開始の割合が最も高かったのは、 イスラエル(41%)エストニア(41%)デンマーク(38%)であった。
まとめ
- IC002はデジタル機器開始年齢を尋ねる項目。日本は7~9歳が最も多く36%を占めるが、6歳以下の割合は顕著に増加し全体平均に接近している。
- IC004はインターネット開始年齢を尋ねる項目。日本は10~12歳が最も多く39%を占める。6歳以下の割合は増加傾向にあるが、全体平均とのギャップは埋まっておらず、一貫して慎重傾向が伺える。