調査回を追うごとに取り残される日本

PISA2018分析シリーズ その15

PISA2018分析のもくじはこちらその14からの続き

分析でひとつやり残した事があったので、再度IC010/011で過去PISA2009~2018までの比較を行う。IC010は校外のIC011は校内のデジタル機器利用頻度(学習用途)について尋ねる項目群である。

あなたは、次のことをするために学校以外の場所でデジタル機器をどのくらい利用していますか(携帯電話での利用も含む)。

回答選択肢は、 ①まったくか、ほとんどない ②月に1~2回 ③週に1~2回 ④ほぼ毎日 ⑤毎日 の5択。項目群に含まれる質問は、分析シリーズ1213で紹介している。
これらの項目群はPISA2009以降継続調査されているが、調査年によって構成が若干異なる。
今回は、それぞれの項目群の回答(①~⑤)を単純加算して得たスコアを元に国別比較する。

調査年による項目構成の違いに配慮する

IC010/011は毎回項目の入替えがあるので、調査年を追う形で比較するのが少々面倒だ。2つの方法で散布図表現してみよう。ひとつは、スコアの論理的上限値(例えば、選択肢5つ(0~4で計算する)✕6項目ならば、0✕6で下限は0、4✕6で上限は24になる)に対する国別平均のパーセンテージをとって散布図にしたものが図1だ。【注】分かりにくいので計算方法を変えました。

図1 PISA2009~2018の校内外学習活用スコアの推移(高解像度PDFはこちら

横軸が校外・縦軸が校内を示している。日本の位置は常に左下、つまりダントツの最下位にあり、調査回を重ねるごとに他国から大きく引き離されていることが分かる。

一方、縦横軸とちらばりをみると、PISA2009ではやや散らばりが大きいのに対して、調査回を重ねるごとに、直線に沿って国別のプロットが並ぶようになる、見た目で校内と校外の活用頻度の相関が徐々に高くなっていることは明らかだ。
スピアマンの順位相関係数を計算してみると、PISA2009は ρ= 0.355、PISA2012は ρ= 0.436、PISA2015は ρ=0.529、PISA2018は ρ=0.544 で、調査回を追う毎に相関は高くなっている。

これはどういうことか、校内の授業でのICT活用と校外(家庭学習)でのICT活用が相互に関連性を高めている。つまり、学校授業で扱った内容や課題を家庭に持ち帰って続きをやったり、家庭で作った素材を学校での活動に持ち込んだり、授業内外でオンラインの連絡手段を使ったり、といった【ICTの日常化】を背景にしている、と考えられる。授業内だけ、家庭学習だけ、といった(我が国のICT利活用議論ではよく出てくる)分断されたICT利活用は流行らない、ということだ。

偏差値でみると余計に悲惨

図2 PISA2009~2018の校内外学習活用偏差値の推移 (高解像度PDFはこちら

調査回で項目構成・項目数に違いがあるので、スコアを偏差値に変換して比較してみよう。偏差値なので横軸縦軸の平均は常に50である。

日本の偏差値はずっと40.15~43.6で大きく変わらないが、PISA2018に至っては、校外が40.29、校内が41.36で、ますます他国から置いてけぼりを食らっていることが分かる。

PISA2018で読解力の順位が大幅に下落した事はすでに周知の通りで、ICTを用いた構造的な読み方への適応のなさを指摘する声もあるが、このスコアを見れば至極当然のようにも見える。むしろ、ICTの学習用途の利用がこれだけ未発達なのに、よく今までそれが学力面で顕在化しなかったと思わざるを得ない。

まとめ

  • PISA2009~2018の校内外の学習活用スコアを散布図で比較した。
  • 日本の位置は常に左下(縦横軸ともに最下位)で動かず、しかも、他国から徐々に引き離されつつある。
  • 調査回を追う毎に、校内外の学習活用は相関が高くなっている。

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